てんかんとは
抗てんかん薬の内服治療で70~80%でてんかん発作は消失します。てんかんの治療は「炭・石炭の火種を消す」ことです。炭に火がつくと赤く盛んに火力を増し、さらに強くなると炎を出して燃えてきます。この状態が大発作です。消火のため水をかける(抗てんかん薬投与)といったん炎は消えますが火種は残っています。たんねんに水をかけて火種を消していきます(服薬をしっかり)。水をかけるのを怠ったり(薬の内服を忘れたり)、風が吹いたり湿度が下がったりすると(過労や睡眠不足)火種が再燃してしまいます。
欠神発作
短時間、意識が消失する発作です。小児に多く、発作時にはボンヤリした顔つきになり、今までの動作や会話が中断します。
ミオクロニー発作
全身の筋肉が短時間、不随意に強い収縮を起こし、手足が一瞬「ピクッ」と力が入る発作です。
間代発作
左右対称に全身の律動的な筋肉のけいれんを起こす発作です。
強直発作
筋肉が左右対称性に持続的に収縮し続けるけいれん発作です。四肢、頸部、体幹などの筋のつっぱり、こわばりが起きます。
強直間代発作
意識消失とともに全身性強直発作が出現し、次いで間代発作がみられるます。発作は数分で収まり、その後は昏睡状態、もうろう状態に移行して30分~1時間程で回復します。
脱力発作
頭部、体幹、四肢などの姿勢保持筋の緊張が低下あるいは消失する発作。力が抜けて崩れるように倒れ、同時に瞬間的な意識消失を伴います。
多様な発作が繰り返し起こる
てんかんの患者さんでは、突然、ひきつけたり、ボーっとしたり、意識がおかしくなったりします。こうした発作は、脳の神経細胞が異常な電気的興奮を起こすことによって生じます。てんかん発作は、繰り返し起こるのが特徴です。そのため、1回だけの発作では、通常はてんかんという診断は下されません。
てんかん発作の型は、脳の病的な電気的活動が、脳のどの場所に生じるかによって異なります。そのため、極めて多様な発作型が知られていますが、多くの場合、1人の患者さんには1種類ないし数種類の発作型しか生じません。人によって、発作を起こす場所が決まっているからです。
治療は、薬物治療が主流で、発作をいかに消失させるか、あるいは意識消失を伴う発作の回数をいかに減らせるかが主な目標になります。また、海馬硬化症や良性の脳腫瘍などのはっきりした病変がある場合は、外科治療で完治が期待できるケースもあります。
非痙攣性てんかん重積状態(NSCE)
てんかん重積状態は、「臨床的あるいは電気的てんかん活動が少なくとも5分以上続く場合、またはてんかん活動が回復なく反復し5分以上続く場合」と定義されています。
さらに、てんかん重積状態は全身痙攣重積状態(generalized convulsive status epilepticus、GCSE)と非痙攣性てんかん重積状態(nonconvulsive status epilepticus、NCSE)に分類されます。
非痙攣性てんかん重積状態は痙攣のない発作が5分以上,持続,反復します。
凝視,異常言動,失語症,認知症,昏睡,心肺停止などを呈しますが,多くは治療可能ですが見逃されているケースがあります。